妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「それでも……」


あまりに仰天な提案に口籠る。


「別に俺が嫌ならそれでいい。選択肢の1つだと思ってくれていいから。

俺はほんとに結婚とかどうでもいい。俺は、何よりも妹を優先させるから、それを許してくれるなら誰だっていい」


「それはつまり……私は仕事を続けてもいいけど、自分のシスコンには口を挟むな、ってこと?」


ストレートな言い方をしたので、桜太くんは眉を下げて「まあ、そういうこと」と笑みを含めて言った。


「そういうの……いいのかな。好きでもない2人が結婚して、罪になるわけじゃないけど……」


「恋愛結婚、政略結婚、偽装結婚、契約結婚……いろんな結婚があって、価値観が多様化している時代。間違ってるなんて言えない。

俺たちの場合は、一緒に暮らせば問題ない。

逆を言えば、一緒に暮らさなければならない。条件をつけるなら、ゆかなはうちに来ること、俺が妹を優先させても干渉しないこと。……あ、ちなみに2人で暮らすわけじゃないからな」


真面目に桜太くんが言うので、ついクスッと笑ってしまった。


……わかってるよ。

妹さんと一緒に暮らしたいからでしょ。


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