妹を溺愛する兄が先に結婚しました
そんなある日のこと。
桜太くんが「和奏くんの家庭訪問です」と家にやって来た。
和奏のいない日。
まさかの出来事に唖然とするのは私だけでなく、父と母も。
一応事前に聞かされていたようだが、本当に家庭訪問だと思っていたらしい。
私は、桜太くんが和奏の学校の先生だと、この時初めて知った。
最初は追い返そうとしていた両親だったが、家庭訪問という建前上、追い返せるはずもなく家に招き入れた。
「ゆかなさんと結婚させてください」
演技とは思えないくらい桜太くんの真剣な表情に息を呑んだ。
父は、私に浴びせかけた言葉を彼にも言い、教師という職業にまで口を出した。
……けど、終いには、半ば押しきられる形で結婚を認めた。
「桜太くん、ほんとにごめんね」
「いや、まあこれくらいは。……和奏の学校の先生っていうのがだいぶ味方してくれた。確かに厳しいし押しつけがましいけど、話の通じない人じゃない」
帰り道。
ネクタイを緩めながらそう言った桜太くんは、少しだけ疲れた表情をしていた。
ありがとう、より、ごめん、が出てしまう。
情けない自分にも、文句を言わない桜太くんにも、胸が締めつけられる思いがした。
桜太くんが「和奏くんの家庭訪問です」と家にやって来た。
和奏のいない日。
まさかの出来事に唖然とするのは私だけでなく、父と母も。
一応事前に聞かされていたようだが、本当に家庭訪問だと思っていたらしい。
私は、桜太くんが和奏の学校の先生だと、この時初めて知った。
最初は追い返そうとしていた両親だったが、家庭訪問という建前上、追い返せるはずもなく家に招き入れた。
「ゆかなさんと結婚させてください」
演技とは思えないくらい桜太くんの真剣な表情に息を呑んだ。
父は、私に浴びせかけた言葉を彼にも言い、教師という職業にまで口を出した。
……けど、終いには、半ば押しきられる形で結婚を認めた。
「桜太くん、ほんとにごめんね」
「いや、まあこれくらいは。……和奏の学校の先生っていうのがだいぶ味方してくれた。確かに厳しいし押しつけがましいけど、話の通じない人じゃない」
帰り道。
ネクタイを緩めながらそう言った桜太くんは、少しだけ疲れた表情をしていた。
ありがとう、より、ごめん、が出てしまう。
情けない自分にも、文句を言わない桜太くんにも、胸が締めつけられる思いがした。