妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「何見るの?」


タブレットをローテーブルに置いて、ベッドを背もたれに並んで座る。


「クリスマスといえばコレかな、って。見たことある?」


「うん、あるよ。面白いよね」


「これなら話しながら見れるかなって思って」


「そうだね」


再生したのは、クリスマスになると無性に見たくなる外国の映画。

子供と泥棒のクリスマスコメディ。


兄に初めて見せてもらった時からこの映画にハマってしまい、毎年のクリスマスの恒例行事になった。



「時原はひとりっ子なんだよね」


「うん」


「クリスマスとかってどうしてたの?」


「あまりクリスマスに特別なことはしない。父さんも母さんも仕事だし」


「そうなんだ」


「真崎の家のクリスマスは賑やかそうだね」


「うん。ゆかなさんが来て、もっと賑やかになったよ」


そんな他愛ない会話をしながら約1時間半の映画を見た。



***



ベッドに乗って、窓の外を見る。


「やっぱりお母さん帰ってないや」


ここから見える車庫には、まだ車が帰ってきていなかった。


そろそろ夜ご飯の支度を始めないといけない頃だけど……。


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