妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「真崎先生も今日は早く帰ってくるの?」


視線を室内に戻す。


「夜ご飯前には帰るって言ってたよ」


「そっか」


そう呟いたきり時原は口を閉ざした。


……?


「時原、眠い?」


「え、なんで?」


急に顔を上げた時原とバッチリ目が合う。


いつもは身長が高い時原を私が見上げることが多いけれど、今は私がベッドに座っているので時原に上目遣いされる。


ちょっとドキッとしてしまった。


「いや、急に黙っちゃったから。……って、元々そんなに喋る方ではないか」


「うん、まあそうなんだけど……」


時原は言いながら立ち上がって、ベッドに腰を下ろした。


視線が近くでぶつかる。


「真崎、さっきも眠いか聞いたよね」


「う、うん。眠そうにしているイメージがあるから、時原って……」


返答がどぎまぎしてしまうのは、時原の瞳がまっすぐ私を捉えるから。


な、なんだろう……?



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