妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「あのね、見せたいものがあるの」


そう切り出した。


「見せたいもの?」


「イブの日にわざわざ見せるようなものでもないんだけど……、今日が1番、頑張れる気がする」


「……?」


不思議そうに首を傾げる時原の前で、私はカーディガンを脱いだ。


「えっ、真崎……⁉」


突然のことで目をむく時原。


それでも私は止まらず、シャツのボタンに手をかけた。


「ちょっと待って」とすかさず時原が止めに入ったのは、ボタンを半分開けた頃。


「へへっ。別に変な意味じゃないからね」


「……っ?」


情けない笑みが零れても、もう後には引かない。


残りのボタンも全部開けて、シャツを脱いで……。



時原が顔を背けた。


精一杯の抵抗、なのかな。

そう思うと、ちょっと可愛くて安心する。


「気分悪くなったらすぐ着るから」


私は最後のインナーシャツも脱いだ。



露わになったのは、下着と肌……そして、傷痕。


「時原」


穏やかに名前を呼ぶと、背けていた時原の顔がゆっくりとこちらを向いた。



……そして。

さっきよりさらに大きく目が見開かれた。



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