妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「……ずっと隠してきたけど、時原と付き合って……、これから隠していけるものじゃないと思って……。

いつかはバレるから。それなら早いうちに話して……、隠し事をしたくないっていうのもそうだけど……

もしかしたら、時原が、この身体は嫌だって言うかもしれないから……、早くに話せばなかったことにできるかなって、思ったの」


「なかったことにって?」


「別れる……」


「……真崎はそれでいいの?」


だけど、その質問にぶわっと涙が溢れ出た。


「いやだよ……。絶対、やだっ。……でも、これは、私じゃどうにもできない、から。手術しても、その痕も残っちゃったら嫌だもん……」


「バカだな、真崎は」

時原の力がさらに強くなる。


「嫌になるわけないじゃん」


「……、嫌にならないの?」


「うん、ならない」


「見苦しくない……?」


「全然」


私も時原の背中に手を回して、彼のカーディガンをきゅっと掴んだ。


「俺は真崎の全部が好きだから。まだ知らないことがいっぱいあると思うけど、全部を愛せるよ。たとえ真崎が男だったとしても、愛せる自信ある」


「私……男じゃないよ」


「ふっ。たとえ話だから」


耳にかかる時原の優しい言葉。

私は彼に抱き締められながら思いっきり泣いた。


私の傷は、これからも付き合っていかなくてはならないもの。

目を背けるのではなく、一緒に背負ってくれる人に私は出会えた。


お兄ちゃんと時原。

それだけで私は幸せ者だ。



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