妹を溺愛する兄が先に結婚しました
***
列式者が思い思いに写真撮影をしている中、休憩している兄を見つけた。
「主役が何してるの」
「こういう場って慣れないんだよ」
「何言ってんの。一生に一度のゆかなさんのウエディング姿を目に焼きつけなよ。……あー、私も早くウエディングドレス着たいなー」
ゆかなさんみたいに綺麗に着れないかもしれないけど、それでも憧れる。
今日、それを強く思った。
「ダメ。結咲は一生着なくていいよ。俺のために着てくれるなら許すけど」
「はぁ?着るし!」
結婚しても兄は変わらない。
相変わらずのシスコンっぷり。
だけど、その言葉の半分は冗談。
「せっかく、幸せになって良かったねー、って祝福しに来たのに」
「俺は、結咲を好きになった時から幸せだよ」
ふっと笑みを零した兄。
「……『ゆうが幸せにしてあげる』──結咲がそう言ったんだ」
「え……?」
「ずっと空っぽだった俺に、結咲が『ゆうでいっぱいになれば、空っぽじゃなくなって、幸せになれるよ』って言った。
だからその通りに結咲だけを考えて、好きになった」
目に宿るのは、切なさ……なんかではなく、昔を懐かしむような穏やかさだった。
偲び慈しむ兄のその目に、言い表せない温もりを感じた。
列式者が思い思いに写真撮影をしている中、休憩している兄を見つけた。
「主役が何してるの」
「こういう場って慣れないんだよ」
「何言ってんの。一生に一度のゆかなさんのウエディング姿を目に焼きつけなよ。……あー、私も早くウエディングドレス着たいなー」
ゆかなさんみたいに綺麗に着れないかもしれないけど、それでも憧れる。
今日、それを強く思った。
「ダメ。結咲は一生着なくていいよ。俺のために着てくれるなら許すけど」
「はぁ?着るし!」
結婚しても兄は変わらない。
相変わらずのシスコンっぷり。
だけど、その言葉の半分は冗談。
「せっかく、幸せになって良かったねー、って祝福しに来たのに」
「俺は、結咲を好きになった時から幸せだよ」
ふっと笑みを零した兄。
「……『ゆうが幸せにしてあげる』──結咲がそう言ったんだ」
「え……?」
「ずっと空っぽだった俺に、結咲が『ゆうでいっぱいになれば、空っぽじゃなくなって、幸せになれるよ』って言った。
だからその通りに結咲だけを考えて、好きになった」
目に宿るのは、切なさ……なんかではなく、昔を懐かしむような穏やかさだった。
偲び慈しむ兄のその目に、言い表せない温もりを感じた。