妹を溺愛する兄が先に結婚しました
テレビが点いておらず、カーテンは閉め切られ、エアコンすらつけていない。


義妹は昼飯の途中だったようで、テーブルで静かに炒飯を食べていた。


なんでこんな暑い部屋で……。


とりあえずキッチンへ行き、勝手に飲み物をもらう。


久しぶりに帰ってきたけど、長年暮らした家だ。


だいたいの物の位置はわかる。

ただ、知らない食器が増えていた。


義母さんと義妹のものなんだろう。


……やっぱりここは、俺の家じゃない。


お茶をゴクゴク飲み干して、美味しそうに飯を食べる義妹の、斜め向かいの椅子に座った。


「……それ、自分で作ったのか?」


なんとなく口を開いた。


食べる手を止めて、俺を見る義妹。


「ううん、お母さんが作ってくれたの。お兄ちゃんも食べる?冷蔵庫にあるよ」


あったか?

……いや。あったな、それっぽいのが。


「いらねぇ」


そう答えると、義妹はまた手を動かした。



にしても、チビだな。


小さい手、細い腕、艶のある髪。

綺麗な肌は、微かに赤らんでいる。


なのに、目は大きくてキラキラしている。

一切濁っていない、澄み切った瞳。


これが子供。


俺もこれくらいの時はこんなだったのだろうか。



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