妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「ごちそうさまでした」


手を合わせて、ごちそうさまする義妹。


はいはい、偉い偉い。


結局、食べ終わるまでそこにいてしまった。


「お兄ちゃん、今日はずっと家にいるの?」


「いや、出かける」


「そっか……」


寂しそうに俯く義妹を見て、グッと胸を締めつけられる。


なんでそんな寂しそうなんだよ。


こんなガキ、どうでもいいはずなのに。


どうしてか、悲しげな表情が頭から離れない。



「お前が羨ましい」



気付けば、そんなことを呟いていた。


一度言葉にしてしまえばもう止められない。


「一喜一憂して、嬉しいことは嬉しい、悲しいことは悲しい……、何も知らず幸せそうで」


「?」


「……俺は、空っぽの人間だからな」


「空っぽなの?」


「何にも夢中になれない、何もない人間。だから、絶対に幸せになれない」


そこまで言って、何を言っているんだか、と我に返る。


こんなガキに言ったって意味ないのに……。



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