妹を溺愛する兄が先に結婚しました
リビングへ戻ると、静かな世界に襲われる。


何もない世界。


俺のようだ。


義妹は、ずっとここに1人だったのか。


俺には笑顔を見せていたけど、絶対心細かったに決まってる。


わがままを言わず、寂しそうな顔をした時も本音を言わなかった。


まだ7歳だぞ。

どうしたらそんな風に生きられる。



俺は、両親が帰ってくるのを待った。



***



夜になって、両親が帰ってきた。


「桜太!」


俺がいることに驚く父と義母(はは)


笑顔を見せる両親だったが、


「聞きたいことがあるんだけど」


そう聞く俺の重い面持ちに、笑顔を消した。


「どうした?」



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