妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「ねぇ、真崎。先生に、朝練も来てくれるよう頼んでよ。妹でしょ」


突然、話を私に振ってきた。


「え、嫌ですよ」


「なんでよ」


「先輩たちにとってはカッコイイ先生でも、私にとってはただの兄なんですから」


「真崎は頭が固いなー」


ブーブー言いながらも、練習に戻る先輩たち。


逆に聞きますけど、自分の兄と一緒の空間にいたいと思います?


同じ学校ってだけでも嫌なのに……。


そんなことを考えながら、バスケットボールを跳ねさせていると。


「結咲も大変だね」


友達の(さわ)に話しかけられた。


「もうほんとだよ。私がこれまでにどれほどお兄ちゃんに人生を狂わされたか!」


「人生って……大げさな」


「大げさじゃないよ。

好きな人ができても、男友達ができそうになっても、お兄ちゃんに妨害され続け……

気付けば15年!彼氏がいないの!」


「そんな子、いっぱいいるよ」


「爽は彼氏がいるからそんな余裕なんだよ。私がどれほど、彼氏のいる高校生活を望んだか」


あまりの私の迫力に、若干爽が引いている。


< 8 / 447 >

この作品をシェア

pagetop