妹を溺愛する兄が先に結婚しました
「真崎先生って昔からそんな感じなの?」


「うーん……、どうだろう。

私がお兄ちゃんの本性に気付いたのは、中学生になってからだから」


「本性?」


「私の初恋。中1の時だったんだけど、クラスに好きな子がいてね。

サッカー部の折部(おりべ)くん。

転勤族だったから『どうせすぐまた転校するよ』みたいなちょっとスれた子で、やっぱり中1の途中で転校しちゃって。

気持ちは伝えられなかったけど、転校する前に『手紙出すね』って言って……

ほら、まだスマホ持ってなかったから。


毎週手紙を書いてお兄ちゃんに出してもらってたんだけど。


ある日、お兄ちゃんの部屋で大量の手紙を見つけたの」


「え、それって」


「そう。事もあろうにお兄ちゃんは、私の手紙を1通も出してなかった。

私の恋の邪魔をしたの!


当時はお兄ちゃんのこと信頼してたし、返事が来ないなとは思ってたけど……

まさか送ってなかったなんて思わなかった」


その時からだ、兄へ不信感を抱くようになったのは。


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