妹を溺愛する兄が先に結婚しました
まだ何も映っていないスクリーンを見つめていた時原は、視線を外さず答える。


「うん。和奏は昔からお節介ばかり」


「ふふっ。想像できる」


「それに爽も乗るから、2人共面倒くさい」


“面倒くさい”

そう言った時原は、なぜか寂しそうに笑った。



映画が終わって、私は映画館を出たすぐの椅子で休憩する。


「気持ち悪っ……」


「大丈夫?」


「……あんなグロいシーンがあるなんて思わなかった」


映画自体は面白かったんだけど、ラストらへんで唐突に出てきたグロテスクなシーン。


私は、そこで完全にノックアウトされた。


「真崎ってグロ系ダメなの?」


「ダメっていうか……そういう系を見たことがなかったから。お兄ちゃんに禁止されて」


「あー、なるほど」


私の前に立つ時原が納得して頷いた。



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