ここではないどこか
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俺を出迎えてくれた香澄さんのデコルテで主張するネックレスを見て、思わず体が固まる。最悪捨てられているかと思ったネックレスがまさか俺を出迎えてくれるとは……。想像もしていなかったことに、俺の胸はいっぱいになった。
俺の視線に気づいた香澄さんは照れ臭そうに微笑む。その笑みに期待しそうになる心を俺は必死に律した。
「ごめんね。突然呼んじゃって……」
「いや、全然……。それより、お葬式……俺こういう時なんて声かけたらいいかわからなくて、ごめん……」
「ふふ。素直。ありがとね。とても良いお葬式だったよ」
久しぶりの香澄さんの笑顔って破壊力ありすぎだわ……。恋を知ったばかりの少年でもないだろうに。俺は顔に熱が集まるのを感じた。
部屋に上がると香澄さんはいつものように水の入ったコップを俺の前に置き、正面に座ったかと思えば姿勢を正して俺をまっすぐ見据える。
すぅ、と香澄さんが息を吸って、なんだか俺にまで緊張が伝わってくるようだ。
「あの、本当に勝手なんだけど、私が瑞樹くんのこと幸せにしたい!……って言うのはもう遅い……かな?」
散々待った、散々傷ついた、と嫌味の一つでも言ってやろうという気持ちは香澄さんの愛を含んだ眼差しの前では無力だ。
「俺の幸せは香澄さんの隣にしかないよ」
きっと俺は、今まで生きてきた中で一番の幸福の中にいるだろう。
俺が幸せに微笑むと、香澄さんもつられて微笑む。そこには確かに愛と幸福があった。
「好きだよ」
想いは溢れて自然と言葉として表れた。
「私も、好きだよ」
やっと、やっとだ。香澄さんの特別になれた。
ネックレスが俺たちを祝福しているようにきらきらと輝いていた。
俺を出迎えてくれた香澄さんのデコルテで主張するネックレスを見て、思わず体が固まる。最悪捨てられているかと思ったネックレスがまさか俺を出迎えてくれるとは……。想像もしていなかったことに、俺の胸はいっぱいになった。
俺の視線に気づいた香澄さんは照れ臭そうに微笑む。その笑みに期待しそうになる心を俺は必死に律した。
「ごめんね。突然呼んじゃって……」
「いや、全然……。それより、お葬式……俺こういう時なんて声かけたらいいかわからなくて、ごめん……」
「ふふ。素直。ありがとね。とても良いお葬式だったよ」
久しぶりの香澄さんの笑顔って破壊力ありすぎだわ……。恋を知ったばかりの少年でもないだろうに。俺は顔に熱が集まるのを感じた。
部屋に上がると香澄さんはいつものように水の入ったコップを俺の前に置き、正面に座ったかと思えば姿勢を正して俺をまっすぐ見据える。
すぅ、と香澄さんが息を吸って、なんだか俺にまで緊張が伝わってくるようだ。
「あの、本当に勝手なんだけど、私が瑞樹くんのこと幸せにしたい!……って言うのはもう遅い……かな?」
散々待った、散々傷ついた、と嫌味の一つでも言ってやろうという気持ちは香澄さんの愛を含んだ眼差しの前では無力だ。
「俺の幸せは香澄さんの隣にしかないよ」
きっと俺は、今まで生きてきた中で一番の幸福の中にいるだろう。
俺が幸せに微笑むと、香澄さんもつられて微笑む。そこには確かに愛と幸福があった。
「好きだよ」
想いは溢れて自然と言葉として表れた。
「私も、好きだよ」
やっと、やっとだ。香澄さんの特別になれた。
ネックレスが俺たちを祝福しているようにきらきらと輝いていた。