闇夜ヨルの恐怖記録 1
自分も小説家を夢見ていたときにこうしてノートに物語を書いていたから、すぐにわかった。


「チアキはもう3冊くらい完結させてるよね」


マイコの言葉にミハルは目を見開いた。


そんなに完結させていたなんて知らなかった。


「マイコは知っていたの?」


「うん。ミハルには黙っててごめんね。でも、私達には本気の夢があって、他人にはなかなか話せなかったの」


本気の夢は、簡単には人に話せない。


昨日マイコたちが言っていたことを思い出して、一瞬胸がチクリと痛んだ。


まるで今までの自分を責められているような気分になる。


「そ、それで、いつから書いてきたの?」


気を取り直してチアキに聞く。


「小学校5年生から。書き始めたときは全然完結できなかったけれど、最近では小説の書き方の本とか読んで勉強して、それで完結まで書けるようになったんだよ」


「そうだったんだ……」


そんなに前から小説家を目指していたなんて知らなかった。


チアキはほとんど誰にも夢の話をしないまま、自分の力だけでここまでやってきたんだ。


ミハルはマイコへ視線を向けた。


「もしかして、マイコも人に言えない夢があるの?」


マイコは笑顔で頷いた。


「今のミハルだから教えるけど、私は看護師さんになりたいの。母親がそういう仕事をしているから、私も将来人の役に立てたらいいなって思ってる」


「そうなんだ……」
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