闇夜ヨルの恐怖記録 1
☆☆☆

将来の夢を決めたのなら、もうキャンディーを食べなければいいんだ。


夜、ミハルは自分の部屋でキャンディーの瓶を手に立ち尽くしていた。


これを食べればまた幸せな夢を見ることができる。


それで将来の夢がまた変わるかもしれない。


そうなったとき、マイコとチアキにはどう伝えればいいだろう?


そう思うと、なかなか瓶の蓋を開けることができずにいた。


だけどもう1度だけ、あの夢を見たい。


夢を叶えてとても幸せな時間を過ごしていた自分を見てみたい。


ミハルは瓶の中のキャンディーを見つめてゴクリと唾を飲み込んだ。


「味も、すごく美味しかったよね」


ぽつりと呟くと、口いっぱいに広がったマスカットの味を思い出す。


今まで食べたどのキャンディーよりも、一番に美味しかった。


「少し食べてみるだけ」


自分に言い聞かせるようにして蓋を開ける。


フワリと甘い香りが瓶の中から溢れ出てきて、また唾を飲み込んだ。
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