闇夜ヨルの恐怖記録 1
あいつだ!


ミハルは更に速度をあげて走り出す。


日頃鍛えていつだけあって、簡単に犯人に追いつくことができた。


「エイヤッ!」


掛け声を共に犯人にタックルする。


体のバランスを崩して倒れ込んだ犯人の背中にまたがり、腕を捻りあげた。


「いててててっ」


情けない声を上げる犯人に手錠をかけると、周囲から拍手と歓声が湧き上がった。


ミハルはにこにこと笑顔でそれに答え、犯人が奪った紫色のバッグを拾い上げた。


それからもちろん、パティシエにもなった。


夢の中のミハルは3店舗めの『MIHARU』を開店していて、弟子の数は数十人を超えていた。


その弟子たちに美味しいケーキの作り方を教える。


一番弟子だった男性は今は立派に独立していて、暖簾分けした『MIHARU』で働いている。


それから女料理人にもなった。


綺麗で、だけど敷居は低い和食料理店で、男性でも満足できるように量も選べるようになっている。


子供連れの人でも入って来やすいように、キッズスペースを設けた。


静かに食べたい人は2階で、にぎやかな宴会などを兼ねている人は1階で。


そのやり方はダイヒットしてみるみる内にお店は繁盛し始めた。


ミハルは厨房の中でひっきりなしに動き回っていた。
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