闇夜ヨルの恐怖記録 1
「なに?」


ミハルはイライラした声で答えた。


今は誰かに優しくなんてできる気分じゃない。


「実は店舗の売上が芳しく無くて……」


「そのくらい知っているわよ」


『MIHARU』の打ち上げが落ちているのは本店だけではない。


他の店舗のお客さんまで軒並み彼女のお店に取られてしまっているのだ。


「これ以上続けることは難しそうなんです」


「なんですって!?」


いくら売上が悪いと言ってもそこまでじゃないはずだ。


今まで沢山の常連客さんがやってきてくれて、ここまで急成長したのだから。


「もう無理なんです。MIHARUは終わりだ!!」


一番弟子の男性は表情を歪めて叫ぶように言うと、コック帽を脱ぎ捨てた。


ミハルはそれを呆然として見つめていたのだった。
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