闇夜ヨルの恐怖記録 1
☆☆☆
もう、1人でしか読めない文庫本を広げることはなくなった。
読むとすれば友達と一緒に読むことができるファッション誌だ。
そこには自分の知らなかった世界が広がっていて、それを知るたびに昔の自分が遠ざかっていくような気がした。
「セイコ、一緒に帰ろう」
放課後、ユウキに呼ばれてカバンを持って歩き出した。
サッカーの練習がある日でも、ユウキはセイコを送って帰ってくれる。
それから大慌てで練習へ向かうのだ。
何度も一人で帰れると言ったのだけれど、ユウキは譲らなかった。
入り口の前で待っていたユウキと合流して廊下へ出ようとしたとき、目の前を歩いていたトオコが突然勢いよくこけてしまった。
周りにいた生徒たちから一斉に笑い声が聞こえてくる。
トオコの足元を見ると床が濡れているのがわかった。
拭き掃除の後、ちゃんと乾いていなかったみたいだ。
目の前で転倒したトオコに手を差し出す生徒は誰もいない。
降り掛かってくるのは笑い声と、バカにした言葉だけ。
「行こう」
ユウキもトオコに目もくれることなく、歩き出す。
もう、1人でしか読めない文庫本を広げることはなくなった。
読むとすれば友達と一緒に読むことができるファッション誌だ。
そこには自分の知らなかった世界が広がっていて、それを知るたびに昔の自分が遠ざかっていくような気がした。
「セイコ、一緒に帰ろう」
放課後、ユウキに呼ばれてカバンを持って歩き出した。
サッカーの練習がある日でも、ユウキはセイコを送って帰ってくれる。
それから大慌てで練習へ向かうのだ。
何度も一人で帰れると言ったのだけれど、ユウキは譲らなかった。
入り口の前で待っていたユウキと合流して廊下へ出ようとしたとき、目の前を歩いていたトオコが突然勢いよくこけてしまった。
周りにいた生徒たちから一斉に笑い声が聞こえてくる。
トオコの足元を見ると床が濡れているのがわかった。
拭き掃除の後、ちゃんと乾いていなかったみたいだ。
目の前で転倒したトオコに手を差し出す生徒は誰もいない。
降り掛かってくるのは笑い声と、バカにした言葉だけ。
「行こう」
ユウキもトオコに目もくれることなく、歩き出す。