闇夜ヨルの恐怖記録 1
中学校では行き帰りでの寄り道が禁止されているから、通学路の途中でコンビニがあっても本屋があっても立ち寄ることはできない。


制服のままどこかへ遊びに出かけることも許されていない。


もしも学校にバレたら補導室に呼ばれてしまうのだ。


授業中に補導室へ来なさいとアナウンスされるのはとても恥ずかしい。


男子の中にはそれをステータスのように思っている子もいるようだけれど、ミハルには全然わからなかった。


早足で家へと急いでいると、前方からダックスフントを連れた女性が歩いてくるのが見えた。


背の低いダックスはちょこちょこと一生懸命足を動かして歩いている。


「わぁ、可愛い!」


お腹が空いていることも忘れて思わず駆け寄っていく。


20代前半くらいの女性がミハルに挨拶をして立ち止まってくれた。


「触ってもいいですか?」


「えぇ、どうぞ」


優しく言われて、ミハルはその場にしゃがみこんでダックスの頭をなでた。


毛は短いけれど、フワフワしていて温かい。


ダックスはミハルに撫でられると心地よさそうに目を細めた。


本当に可愛い!
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