闇夜ヨルの恐怖記録 1
触れば触るほどミハルの胸の中に愛情が湧いてくる。


動物は元々好きだけれど家で飼ったことはない。


借家だから飼うことはできないんだと、両親から言われていた。


「触らせてくれてありがとうございます」


好きなだけダックスを撫で回したミハルは満足感で満たされていた。


動物に触れることができるのはふれあい動物園に行った時だけだ。


でも、動物に関する仕事に付けば毎日でも犬や猫を撫でることができるんだ。


犬や猫だけじゃない、インコや亀もミハルは大好きだった。


そんな子たちと一緒に過ごすことのできる仕事なんてまるで夢のよう!


そう考えたミハルの脳裏に浮かんできたのはペットショップの店員だった。


もしくは獣医さん。


それにトリマーやブリーダーといった仕事もある。


いっそ動物園に務めるのも良いかもしれない。


考え始めると動物に関わる仕事は沢山あることが見えてきた。


この中のどれかひとつなら現実にすることができるんじゃない!?


ミハルはすっかりその気になって、アイドルやモデルや女優、パティシエのことなんて少しも思い出さなかったのだった。
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