闇夜ヨルの恐怖記録 1
☆☆☆

「まぁたミハルの夢が増えた」


学校で昨日の出来事を話したミハルにマイコとチアキがくすくすと笑う。


動物と関わる仕事がしたいこと。


女料理人も捨てがたいこと。


そして今朝、警察官に向いていると言われたことなどをミハルは楽しそうに話した。


「だって、みんなが私にむいてるとか言うんだもん」


「ミハル、お世辞って知ってる?」


含み笑いを浮かべたマイコにそう言われ、ミハルはムッと唇を尖らせた。


確かに、お母さんはお世辞だったかもしれない。


ずっと下手くそだったことを見てきているし、その頃に比べれば料理も上達しているから。


だけど、今朝の老婆は違う。


ミハルと初めて会った人が、そこまでのお世辞を言うとは思えない。


「そういうこと言って、2人はどうなの?」


ミハルの言葉にマイコとチアキは目を見交わせた。


「誰にも言わない?」


マイコにそう言われて、ミハルは首をかしげる。


「どうして?」


「どうしてって、自分の夢をいろんな人に知られたくないでしょう?」


そう言われてもミハルにはよくわからない。


ミハルは夢を持つとすぐにそれを人に伝えてしまう。


だから友達や両親から呆れられてしまうのだ。
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