闇夜ヨルの恐怖記録 1
☆☆☆

ベッドの中で大好きなアイドルのMVをスマホで見ながら眠くなるのを待つのが、ミハルの日課だった。


今日もベッドにうつ伏せに寝転んでスマホ画面を見つめている。


時々歌詞を口ずさんだり、体を揺らして曲に乗る。


そろそろ眠気が襲ってきたという時に、テーブルに置かれているキャンディーの瓶が視界に入った。


「そうだった!」


ミハルはスマホを投げ出して老婆からもらったキャンディーの瓶を掴む。


中には赤や黄色オレンジなど色々な色のキャンディーが入っている。


瓶の蓋を開けて一粒手のひらに取り出した。


出てきたのは緑色のキャンディーだ。


口に入れてみるとマスカットの味がした。


「う~ん、美味しい!」


それは今まで食べてきたどのキャンディーよりも美味しくて、頬が落っこちそうになるくらいだ。


同時に強い眠気が襲ってきて、ミハルはすぐにベッドにもぐりこんだ。


口の中で小さな飴玉を転がしながら、ミハルは夢の中へ落ちていったのだった。

< 95 / 150 >

この作品をシェア

pagetop