短編集 優しくなんてないよ
頭が痛かった。
鈍器で殴られたかのような衝撃が走った。
耳を塞ぎたかったけれど,嫌な汗が背中をつたって,上手く腕が上がらなくて,息が出来なくなる。
今までの違和感。
そして,気づきかけていたことがパズルのピースみたいに繋がった気がした。
空気の読めない彼らは,口々に私を傷つけていく。
『お前,なんでそんな女みたいな喋り方してるんだよ!』
『さっきまでは普通に喋ってたのに!』
『気持ち悪い!』
『なあ,どうしちゃったんだよ、、、
未愛渡!!!!!!』
ガツンという酷い衝撃が走った。
息が出来なくなる。
私は現実から逃げ出すように未愛渡の後ろに隠れた。
何も考えたくなかった。
何も知らない子供になりたかった。
何も怖くないころに戻りたかった。
けれどパズルのピースはもう埋まってしまった。
彼らの反応と今までの違和感で真実を知るには十分すぎて。
私は声を殺して泣いた。
泣きたくなんかなかったのに泣いた。
私の涙の跡だけが,私の生きている証拠になってくれた。