短編集 優しくなんてないよ
伝染病
マジで,意味がわかんない。
なんで僕の歌を笑うんだろう?
なんで“僕”を受け入れてくれないんだろう。
クズの分際でなんでそんなこと言うんだろう。
「辛かったね。大丈夫だよ。」
はぁ?全然大丈夫じゃないんだけど。
知ったかぶってんじゃねーよ。
お前なんかに何がわかるんだ。
僕のことなんか知らないくせに。
何が辛かったねだ。
ただの煽りにしか聞こえねーんだよ馬鹿!
「そんなこと言っちゃいけないよ!」
あー,ハイハイそーですね。
すみませんでした?
「女の子なんだからもっと丁寧な言葉遣いしなさい。」
それじゃあ男の子だったら丁寧な言葉遣いじゃなくてもいいの?
「お前歌うの下手くそだなw」
じゃあ聞くなよクソが!
ただ,歌いたいだけなのに。
ただ,ズボンを履きたいだけなのに。
なんでそれだけの事でみんな私に話しかけるんだろう?
私のことが好きなんですか?
それはどーもありがとう?
てめぇらなんかにありがとうなんて言いたくもねーわ。
「選挙に行きましょう。」
選挙に行ったらなんか変わるの?
この生きずらい世界を変えてくれるの?
まあ,いいよ。
この世界を変えるんなら僕ひとりで十分だ。
へらへら笑って自分の気持ちを押し殺して。
そんな息が詰まることをやって,それで手に入れたもんは本当に欲しかったもの?
周りに指を刺されても僕は僕の欲しい未来を手に入れる。
たくさん手に入れられたらこっちの勝ちだ。
今度は僕がお前らに指を刺してやる。
「人に優しくしなさい。」
「人の嫌がることはしないでね。」
「女の子なんだからスカート履きなさい!」
「歌なんて歌ってないで勉強しなさい!」
人に優しく出来ない人は生きる価値がないんですか?
人の嫌がることをしてくる奴らは殺してもいいんですか?
なんで女の子はスカートって決まってるんですか?
自分の好きなことを好きと言ってはいけないんですか?
僕は確かにまだ子供で馬鹿だけど。
あんたは絶対間違えたりなんかしないんですか?
あんたの言うことを聞いていれば僕の心は満たされるんですか?
「知らないことは聞きましょう。」
あんた達は僕でさえ分からない僕のことを聞かなくてもわかるんですね。
同情ほど残酷で,イラつくことは無いんです。
それなのに哀れみの目で僕を見るのはやめてくれない。
だったらまだ貶してくれた方がマシだ。
まだ怒ることができるから。
何も聞かずにそばにいて欲しい。
そう願うことは罪ですか?
ただ生きているだけなのに。
どうしてこんなに生きずらいんだろう。
「世の中には生きたくても生きることができない人がたくさんいるんです。」
「なのにまだある命を捨てるのは,そういう人たちにとって裏切りの行為でしかないのです。」
じゃあ,生きるのが辛い人は自ら命を絶ってはいけないのですか?
あなたに子供ができたとして,難病にかかってしまったとき。
薬の副作用が辛いと言ったら,やめさせてあげるでしょう?
場合によっては……安楽死だって考えるでしょう?
それと同じように,自殺もひとつの安楽死と考えてはダメなのか?
幸せになる手段を選んではダメなの?
簡単に死なせてくれないこんな世界が反吐が出るほど嫌いだ。
逃げ場を与えてくれないこの世界がすごく憎い。
辛いツラいつらい,苦しいクルシイくるしい
泣くことさえも,自分を大切にすることさえも許してくれないこの世界なんか大っ嫌いだ!!!!!!
僕と同じで,本当に辛い人へ。
逃げよう。逃げ場なんてなくても,逃げ出すことはできる。
それで捕まったり,逃げ出すことさえままならないのなら。
僕と一緒に死のうか。
自分の好きなようにして,美味しいものを食べて,笑いあったあとで死のう。
そんな死に方が出来たら,きっと来世は幸せになれるよね。
自殺したって,地獄になんか行かないよね?
神様だって,きっと認めてくれるはずだ。
味方なんていないかもしれないけど。
それでも,きっと世界は美しいって思える時が来るはずだ。
汚いものを綺麗な布で隠してるだけかもしれないし。
偽善の世界かもしれないけど。
嘘つきの世界かもしれないけど。
それでも,僕は笑える気がする。
君と一緒なら,どこへでも行ける気がする。
世界中の人が幸せになんて思わない。
でも,世界中の人が不幸にはなりませんように。
不幸になったとしても,また幸せが訪れて笑うことが出来ますように。
君の人生は君が主人公で,監督なんだよ。
好きなようにしてください。
後悔のない未来を作ってください。
そしてあなたの作った未来で,また違う人が幸せになれますように。
あなたの幸せが広がって,たくさんの人が幸せになれますように。
最後に。
この日記が読んでくれたあなたの,翼の1部になれたらいいな。
羽ばたくお手伝いができるといいな。
同情はしません。
でも,そばにはいます。
あなたと,友達になれたらいいな。
また………………
来世で会いましょう。