短編集 優しくなんてないよ
「っ……ふ,うぅ…,っっ…」
涙が,止め止めなく出てくる。
どうして君の苦悩に気づけなかったんだろう。
どうして,何もしてやれなかったんだろう。
僕は彼の日記を抱きしめた。
2人でカフェでたくさん話した次の日,彼は自分の首を切って死んだ。
僕が見つけた時にはもう手遅れで,彼の顔はとても安らかだった。
僕はこんな世界間違ってると思う。
死ぬ事が幸せになってしまうこの世界が,
何でも決めつけてくるこの世界が,
おかしいと思う。
あぁ,でももう。
何もかも手遅れだ。
ごめん,ごめんね。
君の最期の願いを叶えられなくて。
どうせなら僕も一緒に死にたかったな。
もう、、、叶わない願いだけれど。
僕はゆっくり歩き出し,目をつぶった。
遺言なんて残さなかった。
ただ,早くあなたに会いたかった。