年上なのに、翻弄されて
朝ごはん。          
   
目の前にこの子がいるのに慣れなくて,ついソワソワしてしまう。      
   

そういえば……   
 
1年ぶりだなぁ……誰かとこんな風に食宅を囲むの。    
              
少しだけ,寂しくなった。  
  
お母さん達の家もそう遠くはないけれど,去年は夏休みも冬休みも,たまに電話を掛けたりかかってきたりしただけで帰ることはしなかった。  
   
箸の止まった私に,蓮は呉羽,と柔らかく静かな声を掛ける。  
   
    
  
「呉羽。僕の前に誰か,呉羽がそんな顔をするような人がここに座ってたの?」  
   
   
   
静かに名前を呼ばれ,ハッと我にかえった。
                  
数秒問われたことの意味が分からなかったけど,感情が顔に出ていたのだと理解して恥ずかしくなる。    
   
この年でホームシックだなんて……  
  
 
  
「そんなわけないでしょ!! だって彼氏いたこと無い所か異性を家に上げるなんて貴方がはじ……め、てで……」 
 
 
 
私は言いながら自分の言葉を反芻して,何処かに隠れてしまいたい衝動にかられた。  
                 
                 
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