年上なのに、翻弄されて
「こっちだよハクねぇ!」



家につくなり,沙羅ちゃんが走り出そうとする。

手を引っ張られた私はこけそうになったけど,蓮が支えてくれた。

びっくりして硬直したこと,蓮に気付かれていないだろうか…

流石に人様の家で私まで走り出すわけにもいかないので,私は沙羅ちゃんを必死に宥めて歩いた。



「沙羅がここまではしゃぐなんて,そんなにいい人だったの?」



丁度ドアを開こうとしたとき,反対側からドアが開いた。

そしてすらりとした綺麗な女性が出てくる。

この人が……蓮のお母さん。

月奈さん。

女性的な頬の丸みと髪型以外は蓮そのまま。

月奈さんは,ドアの先にいた私を見て目をぱちくりとさせると,美しくコテンッと首をかしげた。

その仕草があまりにも蓮に似ていて……じゃないよバカ! 挨拶しなくちゃ……


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