年上なのに、翻弄されて
気がすんだのかと皆が思った時,月奈さんは離した右手を今度は私の顎に添えた。



「良い子は目を見れば分かるの。それでこんなに可愛い反応をしてくれるなんて最高じゃない」



これは…顎クイと言うのでは……???



「呉羽は僕のだからだめだよ母さん……分かってるくせに」



ただでさえ困っていた私を,蓮は沙羅ちゃんと出会って直ぐの時よりも強く後ろから抱き締める。

もう耐えられない。



「えっちょっとハクねぇ!?」



私は蓮と月奈さんの間を縫うようにして脱出し,沙羅ちゃんの腕を引いた。

そのまま私より背の低い沙羅ちゃんを思い切り抱き締めると,きゃっと女の子らしい悲鳴が上がる。



「あははっ。月奈,蓮。呉羽ちゃんはごはん食べにきたんだからもうやめてあげな」

「あのっ,沙羅ちゃんって……!」

「気づいた? 沙羅だけじゃなくて,月奈と……多分蓮もかな? 皆普段押せ押せなぶん,急に押されると弱いんだ」

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