年上なのに、翻弄されて
手で顔を覆っていると,心なしか頭がクラクラしてくる。



「あら,そろそろあがらないと呉羽ちゃんがのぼせてしまうわね」



そうして少し長風呂となってしまった私達はお風呂を上がった。

のだけれど……



「あの,月奈さん。私の着替えは……?」

「あぁ! 洗濯したわ? そこの蓮の服を着てちょーだい。でも安心して? 明日の朝には乾くようにしておくから」



う……そ,でしょ!?

私を翻弄するのは,蓮だけじゃないみたい。



「でも,蓮のこのズボンなんて,どれだけ締めても脱げちゃいます!」

「ハ·クねぇ~? シャツだけでも大丈夫だと思うな?」



本調子に戻った沙羅ちゃんが蓮のTシャツをニコニコしながら差し出してくる。



「ぅ,え? えぇ!? ……………わ,わかった……」



選択の余地など最初からない私は,唯一洗濯を免れていた下着と蓮のシャツを纏って脱衣所を後にした。
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