年上なのに、翻弄されて
「あの……分かったから……分かったから,少し離れて……」 
    
 
顔を背けて,必死の思いで出した声は,自分でも驚くほどか細い物だった。  
    
   
  
「呉羽,あの,じゃなくて?」  
  
「蓮……くん。少し,離れて,お願いだから……」  
   
「呉羽。くんもいらない」  
  

   
もうっ! 何なのさっきから呉羽呉羽って!
   
頬の赤みはとどまることを知らず,全身に広がっていく。        
  
   
  
「ふっ。かぁーい」  
   
「ふぁっ!?」          
  
  
  
彼は,私の許容量をとっくに越えていると言うのに,そんなの気にもとめず私の耳たぶに触れた。            
  
   
     
「耳まで真っ赤……恥ずかしいの?」  
  
   
   
恥をしのんでコクコクと頷いて見せても,彼は許してくれない。      
 
  
 
「れ……ん。離……れて」     
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