年上なのに、翻弄されて
その時,自分から手を繋いだのは始めてだと気がついて,恥ずかしかった私は無言になった。



「ね,呉羽」

「何?」



声をかけられて無視するわけにもいかず,蓮の方を見た。



「ふふっ。呉羽から手繋いでくれるなんて初めてだね?」



動物園に誘った時こそ様子が変だった蓮だったけど,今はいつも以上に絶好調で意地悪だ。



「蓮,1つでいい?」



蓮の発言は無視して,さっさと屋台に向かう。



「おいくつですか?」

「1つで!」



蓮に良いよと言われたので1つだけ。

若くて綺麗なお姉さんに聞かれて迷わず答えた。



「彼女さん。可愛らしい方ですね? ふふっ。」

「でしょう? 僕もそう思います」



店員のお姉さんに笑われて,少し勢いをつけすぎたかと恥ずかしくて反省していると,蓮は迷わずそう返した。



「はい,どうぞ。ありがとうございましたー!」
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