年上なのに、翻弄されて
「蓮! ごめんちょっと行ってくる!」

「沙羅? 呉羽を何処に連れていくつも……」

「蓮さんは私とお話でも」



沙羅ちゃんについていく私と,菜々美ちゃんに腕を掴まれて無理に引き離せない様子の蓮。

それに,菜々美ちゃんは可愛く笑っている割に力が強いらしく,ほどくほどかない以前に蓮は顔をしかめていた。

ごめんねと思いながらも,私が足を止めることはない。

だって,蓮の誕生日。

自分から本人に聞く勇気はないし,沙羅ちゃんがわざわざ来るってことはまだ過ぎていない。

かつ近いと言うこと。

そんなの,行かないわけがない。
  


「もう,良いんじゃないかな?」



そこまで遠くないけど,近くもない場所に移動して,そう声をかける。



「そうだね。あのね? 蓮の誕生日は今月の25日。つまり10月25日だよ。友達がピカソの誕生日だって言ってた」


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