年上なのに、翻弄されて
 
    
「はい,もう一回」

「えぇ!? はなれて,よ,蓮……」  
   
  
   
私は彼の顔を窺うようにして,私史上最大の勇気を振り絞って名前を呼んだ。
  
すると,蓮は頬を染めて,心底嬉しそうに笑った。          
               
ちょっ,破壊……力……    
        
そんな蓮に目を丸くするまもなく,今度は蓮の顔があり得ないくらい近さにあった。

「ちょ,蓮……!!」   
  
   
   
驚きすぎて,すんなりと呼び捨てにすることが出来た。    
   
キス,される!?      
   
私はぎゅうっと目をつむった。
   
でも,実際は……        
     
おでこに柔らかくあたたかな感触が訪れる。
     
固まる私を他所に,蓮はじっくり2,3秒そのままでいたかと思うと,わざとらしくリップ音をたてて私からはなれた。
  
   
   
「お,でこ?」    

  
    
気が抜けてつい呟いてしまった自分を呪いたい。       
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