年上なのに、翻弄されて
「あっ蓮! ごめんね,食べすぎちゃった。後は食べて良いよ」



沙羅ちゃんと別れて直ぐ,私は自分だけがポテトを食べていたことに気付く。



「別に全部食べて良いよ? 呉羽が買ったんだから……それより」



蓮は艶っぽく笑って,私に手を伸ばす。

その手はそのまま私の頬に触れて,私はそれを横目でみるしか出来なかった。



「蓮?」



首をかしげてみても,蓮はなにも言わない。

代わりに,蓮は頬に添えていた手を少しずらして,親指で私の口の端をぬぐった。

そして,その指は蓮の口元に運ばれていく。

-ペロッ

少し伏せられた目と,その一連の動作に,私は意味もなく目を奪われた。

理由も分からず,高鳴る胸。

蓮の,適度に厚く形の良い口が開く。



「やっぱり,しょっぱいね?」
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