年上なのに、翻弄されて
えっ……

私は光の早さで理解する。



「塩……付いてた?」

「うん」



蓮は下の辺りで,指を組むようにしてふふっと笑う。

最悪……というか恥ずかし。

もう,蓮といるとこんなのばっかり。

気が抜けるからかな?

まるで蓮の方が年上で,私なんて年下どころか小さな子供みたいだ。



「大丈夫だよ呉羽。可愛いだけだから」



羞恥心から抜け出せないまま,今度はそんな言葉が向けられた。

そして恥ずかしさなのかなんなのか,私の目は目蓋さえ見えなくなるほど見開かれる。

そして数秒考えて,ようやく違和感を感じ取った。



「あの……蓮? どうかしたの?」



なんか,よく分かんないけど,いつもと違う気がする。

嘘は感じないけど,なんか妙に空々しいって言うか……そう,元気がない。
< 144 / 204 >

この作品をシェア

pagetop