年上なのに、翻弄されて

私のよく分からないフワフワした質問に，今度は蓮が目を見開く。

その後，蓮は一瞬だけ，私のみたことのない照れ笑いのようなものを浮かべた。

その顔に見惚れて，呆然と突っ立っている私の手を，まるで顔を隠すかのように引き，包み込むように柔らかく私を抱き締めた。

人前でこんな風に抱き締められたことなんてない。

こんな風に，私をギュウッと抱き締めているのが蓮だと言うだけで，私の心臓はドクドクと普段と違う動きを見せた。

小学生の頃聞かされたウサギの心臓のように早い。

こんなに密着していたら気持ちがバレちゃう。

そう思って穏便に距離を取ろうと考えれば考えるほど，私の胸は早鐘を打つ。

私の近くを通る，顔をそらしてくれる大人と違って，好奇心を隠しもしない子供の視線が痛い。



「しっと……したのかも」