年上なのに、翻弄されて
ハッと口を塞いでも,もう遅かった。
チラリと蓮を見ると,やっぱりさっきと同じ顔で笑っている。
だよね,自分でも今のは無いと思う。
だって……
「呉羽。ここに,して欲しかったの?」
親指の腹で,ツーッと私の唇をなぞるようにして触れる蓮。
そう思われても仕方ないけど,言葉にしないで!
「違うから! ただ急にあんな近くに顔があったら誰でもそう思うし,期待したとかじゃなくて,驚いただけと言うか……」
「ふふっ。そうって,僕の顔が近くにあるとどう思うの? それに僕,して欲しかった? って聞いただけで,期待した? なんて聞いてないよ?」
「んな!! いちいち揚げ足とらないで!」
「あ」
もぅ今度は何?
何かを見つけた蓮は私をきれいに無視してソファーを立つ。
? 私の……スマホ?