年上なのに、翻弄されて
珍しいに決まってるでしょ! 蓮の誕生日なんて年に一回しか来ないんだから。

夕食の買い物とでもいえば良かったかな。



「ご馳走さま」



何分くらいそうしていたか分からないけど,ぐるぐると言い訳を考える私の耳に,そんな声が届く。



「あっ蓮良いってば! 座っててよ」



カチャッと音を立てて食器を運ぼうとする蓮を呼び止める。

運んでくれるだけならありがたいんだけど,蓮は優しいから,私の分までそのまま食器を洗ってくれようとする。



「呉羽。たまには僕にやらせてよ」

「だめ!! 私年上だし,そうゆう蓮もやってくれる時あるでしょ? 掃除も手伝ってくれるし……だからだめ!」

「掃除は僕も過ごしてるから当たり前だし,ここで食器洗った回数なんて片手で数えるくらいしかないよね? それに年上とか関係ないでしょ?」
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