年上なのに、翻弄されて
「はい」

ーコトッ

と,コップをソファーとテレビの間の机におくと,フワッと温かくホッとする匂いが部屋に充満した。



「ありがとう」




ニコニコと笑う蓮。




「? あの,ポッキーくれないの?」

「呉羽,今日はハロウィンだよ? お菓子欲しいなら何か言わなきゃ」



え,でも……



「それ既に私が貰ったもの……」

「呉羽?」



先程とはうって変わってかけられる圧力。



「むぅ,トリック・オア・トリート?」

「はい,良くできました。呉羽,どーぞ?」



ペリッっという音と蓮の愉しげな声がして,音源の方をみるとポッキーが一本私の口元に向けられていた。



「ふふっ。言ったでしょ? 呉羽。僕は貰うよりあげたい側なんだ」
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