年上なのに、翻弄されて
「~っ!」

「ね? 呉羽が離すから大丈夫だったでしょ?」

「…っ………? ??」



離すって私の方? おちょくられた?

口をパクパクとさせて,私はどうせこれきりだと平静を取り戻そうと努めた。

落ち着くために机の上のコップに手をかける。

中のチョコミルクティーに口を付けると,既に冷たくなっていて,それが逆に恥ずかしかった。



「はい」



そんな声が聞こえて蓮の方に向き直ると,新たなポッキーが向けられている。



「え? え!? ちょっ蓮!?」



信じられない思いで蓮の目をみると,楽しそうな色が浮かんでいて,明らかに来いと言っていた。



「え,嘘でしょ!?」



嘘,ではなかった。

蓮は私に嘘などつかない。

それ自体はいいのだか,それがこんな形で立証されるなど,誰が想像できただろう。
< 176 / 204 >

この作品をシェア

pagetop