年上なのに、翻弄されて
「ごめんね呉羽。手が早いって思われるかもしれないけど,可愛すぎて止まんなかった」



いつもより低い蓮の声。

またぎゅっとされる。

さっきよりも高い密着度と,聞いたことのない余裕のない声に心臓が爆発しそうだ。

蓮の顔が肩にあるせいで,息がくすぐったい。

何が起きたのか分からなかった私はパチパチと目をしばたかせる。

あ……

ようやく理解の追い付いた数秒後,私は真っ赤になった顔を手で覆った。



「ぅ……あっ……うぅぅ」



急に力が抜けて蓮に支えられる。



「っ呉羽!?」

「れ,れん……ごっごめん。その,恥ずかしくて……」



私が指の隙間から何とか蓮を見上げると,蓮は目を見開いた。



「……やじゃ,無かった?」
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