年上なのに、翻弄されて
嬉しくて,歩きながら蓮に少しだけ体を寄せると



「もぅ。なんで呉羽はそんなに可愛いのかな」



手を握る力を,ちょっとだけ強くしてくれた。

私もぎゅってすると,蓮は笑う。

蓮がくれた指輪は,左手につけた。

幸せが逃げないようにするにはそうするといいって,雑誌かなにかで見たことがあったから。

繋がれた右手を見て,私はまた笑う。

蓮と繋がれたそれは,いつもと違う形をしている。



「ふふっ」



子供っぽいかな? そう思いながらも,繋がった手をぷらぷらと遊ばせた。



「蓮,ありがとね」



私が笑うと,蓮も笑った。

世界で1番幸せな誕生日。

冷たい風を肌で感じながら

(蓮はだれにもあげたくないなぁ)

そんなことを思ったりした。
< 193 / 204 >

この作品をシェア

pagetop