年上なのに、翻弄されて
「れん,だいすきだよ」

「なっえ……と,僕も……」



素直で真っ直ぐで突飛,まるで小さな子供。

寝ぼけてるのかな?

もしかしたらこれが毎日続くのかもしれない。

これが呉羽の本音だと思うと,すごく嬉しい。



「……」



呉羽はまだ動かない。

まだ何かあるのかな。

じっと僕を見つめる眠たそうな目。



「蓮,ぎゅってして? 私,蓮にそうして貰うの好き」



知らなかった。

たまに寝起きの呉羽に話しかけてみるのもいいかもしれない。

言葉をはっきりしてきたのをみると,早くしないと取り下げられてしまうかもしれない。

その前に……と,僕は呉羽の望みのままに動く。

こんなに可愛いお願いを聞かないわけにはいかない。

呉羽は僕の腕の中で,小動物のように僕を見上げると,ふにゅっと笑う。

……可愛い。



「ふふっ。ありがと……ふぁぁ,顔洗ってくるね,ねむたい」



呉羽は目を擦って洗面所へ行く
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