年上なのに、翻弄されて
「あっいい匂い。私も手伝う! 野菜ちぎるね。この前ハム買ったから乗せるよ?」

「うん。いいね」



戻ってきた呉羽はいつもと変わらなかった。

忘れているわけではないだろうけど,多分ちゃんと自覚してないんだ。



「呉羽。呉仁(くれと)くんと初羽(ういは)ちゃん,もう1ヶ月だってね。今日もう一回会いに行こうよ。お土産になりそうなお菓子もこの前買ったんだ」

「そんなのいいってお母さんも言ってたでしょ? でも,うん。私も会いたい」

「じゃあ着替えておいで? そのままじゃ行けないから」

「あっ……」



変なの。

寝るときはそうでもないのに,朝僕の前でパジャマだと恥ずかしいみたい。

パタパタと離れていく足音に,僕はそっと微笑んだ。
< 199 / 204 >

この作品をシェア

pagetop