年上なのに、翻弄されて
ついたくさんの人に見せびらかせたくなった私は,はしゃぎながら蓮に笑いかける。
              
                 
                 
「ふふっ。そうだね」        
                 
「でしょっ?」           
                  
「いやっ今のは……」        
                
「おい」           
              
                 
                
美世ちゃんが何か言おうとしたのを遮って達也が低い声で何か言う。      
                  
                 
                 
「達也。どうかした?」       
                 
「何でわざわざここに来た?」      
               
                 
               
聞き返した私じゃなくて,真っ直ぐ蓮を見ながらそう言う。
                 
                 
                  
「呉羽に会いたくて?」       
                 
                 
              
蓮は蓮で挑戦的な目を向け,人差し指の間接を曲げると口の当たりに持っていき,さらりとそんなセリフを吐く。
                 
                  
               
「ちょっと達也。何でそんなに喧嘩腰なの? 蓮もだよ」          
                 
「うん。ごめんね?」      
                
               
                
謝ってはみても,直すつもりがさらさらなさそうな蓮。     

              
                
「もうっ悪いと思ってないでしょっ! 初対面じゃ分かんないかもだけど,達也はたまたま私と同じ志望校だったこの学校に,危ないと言われながらも必死に勉強して入ってくるような努力家の良い奴なんだから!!」 
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