年上なのに、翻弄されて
「その時,達也がーしたんだけど,それが……」



話していると,家につくまでなんてあっという間で,チーンというエレベーターが3階についた音がする。

そして,私は真っ直ぐ自宅のドアの前まで歩くと,慣れた手付きで鍵を開けた。



「ふふっ。それで美世ちゃんが達也に……蓮?」



私はいつの間にか喋らなくなっていた蓮を振り返る。



「呉羽……」



気付いたら蓮は物凄く近くに立っていて……

私の手を,自分の指で絡めるようにして握った。



「蓮……? 何,して?」



私が蓮を覗き込むようにしてみると,蓮はすごく自然な動作で私の肩を押して,

トンッと私の背中が壁に触れた。

蓮の目が,今の蓮は危ないと語っている。

蓮は私の顔から少しは慣れた位置にそっと手を置いて,腕の間接を曲げるような体勢をとった。

つまり,何が言いたいかって言うと……距離が近い。

壁ドン!? って言うより壁トン?

頭を巡るのはどうでも良いことばかり。
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