年上なのに、翻弄されて
「あっこれはちがっ」

「ふふっ。こう,だったね」



そんな私に,蓮は一瞬驚いた顔をした。

けれどそれは本当に一瞬で,すぐに余裕そうな顔で指を絡めてくる。

それは俗に言う恋人繋ぎ。

「んな!? いつもだってこんなことしないでしょ!?」

そう。

手を繋ぐこと自体はいつも,なのだ。

初めて一緒に登校した日から,行きと帰り,1日も欠かさず。

1週間が経った頃から抵抗するのも諦めて,人目に触れないように徒歩25分の距離を蓮に付き合って走っていた。

それを,自分が繋ぎたいみたいにして手を差し出すなんて……!!



「呉羽,かぁ~いっ。ほら,行こう?」

「うるさいっ」



私はいつもより早い速度で走り,学校へと向かった。

走って切れた息を感じながら考える。

多分,私が本気で嫌がってたら,蓮は止めてくれるんだろうなぁ。
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