年上なのに、翻弄されて
 

まぁ,この子に異性としての興味が皆無だからこそ気付いただけなのだけど。
   
やっぱり,ムリに招いたのがいけなかったのかな。  
    
なんだか申し訳ない。
    
眉を下げた私は,その時初めて彼の心からの笑顔を見た。
  

  
「ふふっ。せんぱい,名前,なんて言うんですか?」
  
   
   
私は,この子の雰囲気が変わったのを,肌で感じた。             

何て言うか,年下のくせに凄く色気のある笑い方をする。  
  
さっき思った,可愛いなんてほど遠い。
   
見ていると,ドキドキするって言うか,すごく,恥ずかしくなる笑顔。 
  
一体さっきまでのはなんだったのか。
  
   
  
「あはっ。家に引っ張り込んでおいて,まだ自己紹介もしてなかったね。え~と,君と同じ高校の2年生。綾瀬 呉羽です。ご飯が口にあったのなら,また食べに来てくれると嬉しいな」    

  
   
なんて呼べば良いのか分からなかったから,取り敢えず君にした。
 
そして,いいきった私は,年下相手に動揺したのだと気付かれたくなくて,ぎこちないながらも笑みを向ける。   
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