年上なのに、翻弄されて
「お母さん! 妊娠の報告だったの! ふふっ病気の報告とかじゃなくて良かった!」

「ふっ。赤ちゃんか,良かったね」

「え……? あ,うん。お母さんが幸せそうでなにより?」



蓮は黙り込む。

結婚して,子供も出来て……お母さんが1人で泣くことはもうない。

そう思うと,私は何よりも幸せな気持ちになる。



「呉羽はなんていったの?」

「え? 何って……普通に良かったねって,おめでとうって言ったよ?」



私が祝福しないわけないでしょ?



「良かったねって……いったの?」

「……うん」



何がいけないの?

蓮は,怒ってる訳じゃない。

目を伏せて,悲しげに,何かを諭すみたいに柔らかく話す。



「それは,お母さん悲しかったんじゃないかな」

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